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インド第2位の它企業インフォシス。日本での事業拡大に乗り出しています。

常に最先端技術を担い,多様性と包括的な文化を持つ100以上の国の従業員の意思を反映させたリーダーシップを取る新しい世代の会社

インド第2位の它企業インフォシスは,2014年,独SAPのCTOだったビシャル・シッカをCEOとして迎えてから急速に変わりつつあります。例えばGEと包括パートナーシップを結び,製造業での物联网活用の先端を研究,またゴールドマン・サックスの個人融資事業や電気自動車メーカーの自動運転なども手がけています。技術開発に熱心で,世界の它業界でリーダー的なポジションにあります。

インフォシスの売上高は全世界で約兆1495億円(2016年度)。特に米英などの英語圏で力を発揮していますが,日本での規模はその200分の1程度にとどまっています。しかしいま日本の它投資には,フォローの風が吹いています。セールスの部隊を整え,インフォシスの技術力をきちんとアピールできれば,2020年までに売上高を2倍以上に伸ばすことは十分に可能と考えます。またジョイントベンチャーや并购といった選択肢をとれば,3倍以上にすることも可能です。インフォシスにはそのポテンシャルがあります。

インド本社では下创科技による研修,充実した教育環境が整っており,これが高い技術力の背景にあります。本社は南部のバンガロールにあり,バンガロールには,インド理科大学院(印度科学研究所)など,世界レベルの大学が多数あります。インフォシスで働く社員も,そうした大学の出身者が多く,社屋も大学のような雰囲気があります。インフォシスは着実な研究開発を重ね,新卒から一貫した人材教育に強みがあります。常に最先端技術を担い,多様性と包括的な文化を持つ100以上の国の従業員の意思を反映させたリーダーシップを取る新しい世代の会社といえます。

インフォシスジャパンは,インドの本社から”ワンカンパニー”で世界の事業を統括しており,組織やシステムも一元化されています。私も”代表“という立場ですが,日本事業は現地法人ではなく支店という立場になります。このため組織としての統合性が高く,トップとの距離も近い体制で,これまでは本社の判断を待つことが多かったようですが,支店で独自に判断できるスピードが格段に上がりました。

インフォシス経営層には圧倒的なバイタリティの強さがあります。インドの平均寿命は約68歳,人口は約13億人です。一方,日本の平均寿命が約84歳で人口は約億1.26人。インド人は,寿命が短いが,競争相手は多いので,30、40代であっても経営者として突出しようと前に出る傾向があります。インフォシスの本社には,“プレジデント”という肩書を持つ役員4人がいるが,全員が40代前半です。そしてよく働きます。インド時間の夜中に連絡をしても,すぐに返事が返ってきます。仕事も秘書任せにせず,できる限り自分でハンドルしています。生のデータをしっかり読み込んでいるので,経営判断は非常にスピーティです。資料作りを経営企画部や財務部に任せてしまう日本の経営層とは,意識が大きく違うと感じでいます。

它業界では4、5年前から,“ビッグデータ”“データサイエンティスト”“デジタルトランスフォーメーション”といった言葉を耳にすることが増えました。これまで,を使った業務改革は,マッキンゼーやBCGといった”戦略コンサル”がトップにあり,その下が普华永道やデロイトなどの”総合系コンサル”,その下にNTTデータなどの“コンサル”があるというピラミッド構造でした。起点はつねに戦略コンサルであり,いわば”文系“の考え方でできていました。それに対して,この5年くらいは“理系“の考え方による業務改革が増えています。

つまり新しい技術や研究成果を起点として,タスクが上がっていくようになっています。かつて理系の研究者はマーケットから乖離していると思われていました,がいまや統計分析や人工知能の研究者が人気を集めています。理系の発想でトレーダーやアナリストに転進する人も多いです。バンガロールに世界レベルの理系大学が集積しているように,インドの教育や研究の環境は非常に恵まれています。“理系の復権“に注目が集まるなかで,インド企業が伸びてくるのは当然でしょう。

今の日本は,人口が減るなかで,日本市場が今後大幅に成長するとは考えにくいのが現状です。ですが,技術主導によって競争の構図は変わるでしょう。すでにアマゾンの“AWSのようにサービスのクラウド化が進んでいます。大手銀行のシステム統合のような”何万人月規模”のプロジェクトはいまが最後で,受託請負開発だけの会社はもう生き残れないでしょう。2020年そうした変化はまでに起きるはずです。その時,先端的なスタートアップ企業や,インフォシスのようなアバンギャルドな外資系の它企業が,市場シェアを大きく伸ばすことになるでしょう。